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膝前十字靭帯は、大腿骨と脛骨を繋いでいる組織ですが、サッカーやバスケットボール、スキー等のスポーツの時に損傷(断裂)することがあります。この靭帯は膝の関節内にあるため、血流が乏しく自然治癒は困難だと言われています。

課題 1.
膝前十字靭帯再建のためには、再建用のグラフト(移植用の組織)として患者さん自身の健康なハムストリング腱や膝蓋腱等の組織を用いて作製するのが標準的です。患者さんによっては、十分な量(太さ)の自家腱が得られず十分な再建手術ができない患者さんもいます。また。複数の靭帯を一度に損傷した場合には、再建手術に用いる自己の移植用組織が不足します。


課題 2.
自家腱をとることによる課題として、自家腱の採取に伴う痛みがあること、腱をとることにより膝を曲げる力(筋力)の低下があること、ごく稀に神経障害等が発生すること等があります。


以上のことから、正常な自家腱を取らずにすむ人工靭帯の開発が待ち望まれています。

脱細胞化動物組織由来の人工靭帯の開発へ


私たちは、動物組織から拒絶反応を引き起こす可能性のある細胞成分を除去し、体内に移植すると自己の組織が再生する「脱細胞化組織」を用いて、膝前十字靭帯再建に用いる人工靭帯を開発しています。早稲田大学 岩﨑清隆教授が開発した以下の2つのコアテクノロジーを応用しています:
・厚い組織でも脱細胞化が行える技術
・強度が保持され、再水和が容易に行える凍結乾燥・滅菌技術
これにより、生体親和性がありながら、人工靭帯としての強度も備えた製品の開発が可能になります。

世界では、脱細胞化した動物/人の組織を利用した医療機器は40品目ほどありますが、いずれも薄膜や厚みのない組織を原料としており、腱のように厚みのある組織を脱細胞化した製品、靭帯のような強度が求められる製品は市場にはありません。私たちは、世界初の脱細胞化動物組織による厚みも強度も必要な人工靭帯の商品化を目指しています。

ACL再建のためのハムストリング腱の直径予測因子は、体重、身長、BMI、および腱の長さであることが予測される

「Predicting the Hamstring Tendon Diameter Using Anthropometric Parameters. Arch Bone Jt Surg. 2016 Oct;4(4):314-317.」